ブレンドファクターを知り、オリジナルブレンドにチャレンジ!
精油とは、単に香り1つで表されるものではなく、データ化し、それを参考にすることで、よりアロマテラピーを日常で楽しめる事が出来ます。
ここで表現している「精油のデータ」とは、香りの揮発速度(ノート)と、ブレンドファクターのことで、これをもとにして、滴数を決めていくブレンド法があります。
まずは、ノートとブレンドファクターについて、ご説明します。
揮発速度(ノート)とは?
精油は、それぞれ揮発する速度が異なり、その速度のことをノートと言います。
要は、香り立ちのことです。
ノートの異なる精油同士でブレンドすると、香りが長持ちするだけでなく、時間で変化していく香りを楽しむことが出来ます。
市販の香水は、このノートも基準に調香されているため、香りの完成度が高いと言えます。
トップノート | ブレンドした時、まずは最初に感じる香りのこと。 揮発速度が速い成分が含まれており、5分~15分の香り立ち。 代表的な香りは、柑橘系の香りです。 |
ミドルノート | ブレンドした時、トップノートに続いて感じられる香りのこと。 揮発速度が中程度の成分が含まれており、3~4時間の香り立ち。 香り全体の印象を左右するため、香りの主要部と言えます。 |
ベースノート | 時間が経つにつれ、優しく長く感じていく香りのこと。 揮発速度が遅いため、半日~2/3日ほどの香り立ち。 ブレンドした時、ベースノートのものを加えておくことで、香りが長持ちしてくれます。 |
ブレンドファクターとは?
ブレンドファクターとは、精油の香りの強さなどを考慮しながら、目的・症状に合わせた場合、どの比率で精油をブレンドすると良いか、その目安を数値で表したものです。
精油の揮発速度だけでなく、1滴に対するその濃度や、成分の刺激性、毒性に対する安全性も考慮して、数値がつけられています。
香りや刺激が強いものは数値が低く、逆に弱いものは数値が高いです。
精油のブレンドファクターの数値は、アロマテラピーを学ぶ場では、一般的に、アロマの研究と教育を行ってきたセラピストとして有名な、「ロバート・ティスランド氏」が考案したものを参考とされてます。
しかし、全世界、全植物で、この数値が正しいとは言い切れません。
精油の販売メーカーでも、ブレンドファクターの数値は、一般的なものとは異なる数値を公表している精油も多々あります。
精油によっては、ブレンドファクターの数値を公表していないものもあり、販売元で調査されていないのか、不安に感じるものもあります。
また、香りの強さ、感じ方は人それぞれですので、数値が高く作用は穏やかとされる精油も、中にはキツく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は無理せず、あくまでも、ブレンドファクターの数値は1つの目安であるという認識で構いません。
ノートとブレンドファクターを学んだら、マッサージ用のブレンドオイルの作り方を例にして、ブレンド法を学んでいきましょう。
(1)まずは、精油を希釈するためのキャリアオイルを選んでいきます。
肌質や目的別でオイルを選びますが、初めての方は、まずは、使いやすいアーモンドオイルやホホバオイルから試してみてください。
(2)次に、ご自身の心身の状態に合わせ、サポートしてもらいたい精油を1つ決めます。
直感で決めても良いですし、お気に入りの好きな香りをベースとされても良いです。
(3)(2)で選んだ精油のノートは、トップノート、ミドルノート、ベースノートのどれに当てはまりますか?
下記の一覧表より、ノートを確認しましょう。
精油のノート一覧表
精油 | ノート |
---|---|
イランイラン | ミドルノート |
オレンジ | トップノート |
カモミール・ジャーマン | ミドルノート |
カモミール・ローマン | ミドルノート |
クラリセージ | トップ~ミドルノート |
グレープフルーツ | トップノート |
クローブ | トップ~ベースノート |
サイプレス | トップ~ミドルノート |
サンダルウッド | ベースノート |
シダーウッド | ベースノート |
シナモン | トップ~ベースノート |
ジャスミン | ミドル~ベースノート |
ジュニパー | トップ~ミドルノート |
ジンジャー | ミドル~ベースノート |
スイート・マジョラム | ミドルノート |
ゼラニウム | ミドルノート |
タイム | ミドルノート |
ティーツリー | トップノート |
ネロリ | トップ~ミドルノート |
パイン | トップノート |
バジル | トップ~ミドルノート |
パチュリ | ベースノート |
フェンネル | ミドルノート |
ブラックぺッパー | トップ~ミドルノート |
フランキンセンス | ミドル~ベースノート |
ペパーミント | トップ~ミドルノート |
ベルガモット | トップノート |
ベンゾイン | ベースノート |
マンダリン | トップノート |
ミルラ | ベースノート |
メリッサ(レモンバーム) | ミドルノート |
ユーカリ | トップノート |
ラベンダー | ミドルノート |
レモン | トップノート |
レモングラス | トップ~ベースノート |
ローズ(オットー) | トップ~ベースノート |
ローズマリー | トップ~ミドルノート |
ここでは例として、最初の精油は、ラベンダーを選んでいきます。
ノートを確認すると、ラベンダーは、ミドルノートになりました。
(4)ノートのバランスを整えていくために、ミドルノート以外の、トップノート、ベースノートにあたる精油を選んでいきます。
ここでは例として、ラベンダー精油以外に、トップノートである「ネロリ」と、ベースノートである「サンダルウッド」を選びます。
あまり選びすぎると調香も香りも複雑になるため、ブレンドする精油は、全部で2種類から5種類までとしましょう。
精油の相性として、7タイプの分類から選ばれてもいいですし、精油の相性に基づいて選ぶと、よりシンプルに選ぶ事が可能です。(【参考記事】オススメの香りブレンド方法(初心者さん向け))
(5)選んだ精油の蓋を開け、全てを手で握り、軽く回しながら香りを嗅いでみます。
(調香紙(ムエット)をお持ちの方は、そちらを使用して香りを確かめていく方法もあります。)
ブレンドのイメージとして、自分にとって好ましい香りかどうかチェックしてみましょう。
違和感を感じるなら、(2)に戻り、精油を選び直します。
(6)ブレンドする精油が決定できたら、作製したいマッサージオイルの希釈率を意識した、精油の全滴数を確認していきます。
まず、精油1滴分は、0.05mlです。
(この記事では、1滴0.05mlとして計算しておりますが、実際には、メーカーによって、また同じメーカーでも精油によって、1滴の量は異なります。正しく計りたい場合、精油にも使用できるガラススポイトなどを使うと正確に計れます。)
それを踏まえた上で、ボディ用のマッサージオイル30mlの計算で作製したい場合、精油の全滴数は、12滴となります。
また、これが、フェイス用のマッサージオイル30mlだとすると、精油の全滴数は6滴となります。
なぜ、同じオイルの容量でも、滴数が異なるかというと、単純に、塗る範囲が異なるからです。
ボディ用は、広範囲に塗ることになりますが、その逆に、フェイス用は局所的(部分的)になるため、滴数を調節し使い分けする必要があります。
【参考記事】精油の希釈率について
希釈率とは、キャリアオイルに対して、精油が何%入っているかを表します。
フェイス用のマッサージオイルは、1%以下、ボディ用のマッサージオイルは、2%以下で希釈…という様に、ブレンドファクターの数字を元に、精油の滴数を決めていきます。
ブレンドファクターの数値が低い精油(香りが強い精油)は滴数を少なくし、数値が高い精油(香りが弱い精油)は滴数を多くしていきます。
簡単に考えると、数値と滴数はほぼ比例すると言えます。
では、参考例として、ここでは、ボディ用のマッサージオイルを作っていきます。
精油のブレンドファクター一覧表
精油 | ブレンドファクターの数値 |
---|---|
イランイラン | 2~4 |
オレンジ | 3 |
カモミール・ジャーマン | 1~2 |
カモミール・ローマン | 1~2 |
クラリセージ | 2~3 |
グレープフルーツ | 4 |
クローブ | 1 |
サイプレス | 5 |
サンダルウッド | 4~6 |
シダーウッド | 3~6 |
シナモン | 1 |
ジャスミン | 1 |
ジュニパー | 2~4 |
ジンジャー | 2 |
スイート・マジョラム | 3 |
ゼラニウム | 3 |
タイム | 2 |
ティーツリー | 3 |
ネロリ | 2 |
パイン | 2~4 |
バジル | 1~2 |
パチュリ | 3 |
フェンネル | 2 |
ブラックぺッパー | 1 |
フランキンセンス | 3 |
ペパーミント | 1 |
ベルガモット | 6 |
ベンゾイン | 3 |
マンダリン | 6 |
ミルラ | 1 |
メリッサ(レモンバーム) | 1 |
ユーカリ | 2 |
ラベンダー | 5~7 |
レモン | 3 |
レモングラス | 1 |
ローズ(オットー) | 1 |
ローズマリー | 2 |
(同じ植物でも、全て生物ですので完全に成分・数値が一致することはありません。そのため、一般的に公開されているブレンドファクターの数値は、まちまちです。
よって、上記の数値も、あくまでも参考程度のものです。ご自身の体調や状態に合わせて、数値を下げて設定するなど対応して下さい。)
ラベンダーのブレンドファクターの数値は「5~7」、ネロリは「2」、サンダルウッドは「4~6」でした。
全滴数12滴を、ラベンダー、ネロリ、サンダルウッドのブレンドファクターを見ながら滴数を決めていきます。
まずは、
ラベンダー 5滴、
ネロリ 2滴、
サンダルウッド 4滴…
としてみると、全部で11滴になりました。
この様に、全滴数と完全に一致しない、1、2滴足りない…という様な場合も出てきます。
その場合、好きな香りの精油で滴数を増やしたり、数値が高い精油を選んで増やしたりして、自由に調香を楽しみましょう。
(7)空容器(保存用遮光瓶)にキャリアオイルを注ぎ、次に決めた滴数分、精油を垂らします。
よく振って、完成したマッサージオイルは常温で保存します。
これで完成です!お疲れさまでした☆(*^_^*)